消費税は2%アップだけど、納税額は25%アップだから要注意

経営者専門の保険屋、ざっきーです。

大好きな経営者のお客様をリスク(不確実性)からお守りするのが仕事なので、経営に参考になるような情報発信をしております。

 

今回は、来月から始まる消費税増税についての要注意ポイントについてです。

 

逆進性の高い消費税を上げることは、景況感を下げる要因でもありますが、実質的には高齢化による膨張の止まらない社会保障費の財源確保の為には致し方なく、仕方がありません。

ただ、現役世代から考えると、20代後半で年収300万円の会社員の年間社会保険料負担は、何と50万円にもなっている現状で、さらに消費に対して増税されるのですから、、、

そりゃ消費は落ちますし、デフレからの脱出は厳しいと思います。

本質的には、高福祉中負担の現状を変えるしか方法はないのですが、社会保障の内容を下げようなどというインセンティブは、人口構成から考えても起き得るはずはありませんよね。

まあ、これこそが低成長高齢化社会をこれからどう生きてくのか、という命題でもありますので、自分にとって出来ることを、やっていくしかないのかも知れません。

 

さて、こんな経済環境で、消費税が8%から10%に上がります。

率にすると2%のアップですので、まあ、気にすることはない、と思われるかも知れませんが、それは違います。

特に経営者の皆様には、これからある視点でのお話を致しますので、ぜひ、意識してみてくださいね。

税率は2%アップだけど、納税額は25%アップ!

結論を申し上げます。

ある視点とは「納税額」です

 

消費税は売上(仮受消費税)から仕入・経費(仮払消費税)を差し引いた額が「納税額となります。

 

ざくりと計算してみるとわかります。

損益計算書については、こんな条件ではいかがでしょうか?

 

売上100、変動費20、売上総利益(粗利)80、粗利率80%、

固定費70(内訳は人件費40、その他固定費30)利益10

 

この場合、消費税が8%ですと、仮受消費税は8、仮払消費税(仕入れと経費は20+30)は4となりますので、納税額は4ですよね。

 

で、消費税が10%ですと、仮受消費税は10、仮払消費税(仕入れと経費は20+30)は5となりますので、納税額は5ですよね。

 

あの、納税額の差は1ですが、これって1.25倍ってことです。

そう、納税額で見ると、2%アップではなく、25%アップなんですよ!

 

経営者の皆さん、お手元にある昨年の消費税の納付金額をご確認下さい。

今すぐです。

 

例えば、

納税額が200万円だったとすると、25%増しの250万円になります。

納税額が500万円だったとすると、25%増しの625万円になります。

納税額が1000万円だったとすると、25%増しの1250万円になります。

 

もうわかりますよね。

納税額は、損益計算書が変わらなかったとすると、こんなにもアップします。

何度も申し上げますが、2%アップではなく、25%アップですからね。

 

消費税は「預かり税」ですから、売上も上がるのでキャッシュインも増えるし何とかなるさ、と考えていると大きな間違いです。

だって、仕入れや経費も多く支払うのですから。

 

この点を、理解されていない経営者の方、意外といらっしゃるのかも知れません。

事実、消費税が5%から8%に上がる際、この話していたにも関わらず、消費税を払うための納税資金が不足していて、お金がないから保険解約したい、っておっしゃられた経営者の方がいらっしゃいました。

ものすごく勉強されているとおっしゃってましたが、違ったようです、、、

まあ、この悲しい記憶を思い出したものですから、この納税額へのインパクトを発信できればと思い、この機会にブログを書いてみた次第です。

 

そして、注意点がさらにありますので、チェックして下さいね。

 

2019年10月以降、仕入コストは間違いなく2%アップする

これ、当たり前のことですが、資金繰り表なのでのアップを考慮しているかどうか、これが大切です。

特に仕入(変動費)は、固定費とは違い抑制することができません。

必要であれば、購入するしかないのです、2%確実にアップした金額で。

 

明らかに、資金繰りに影響しますよね。キャッシュフローに影響しますよね。

 

なので、当たり前かも知れませんが、この、コストアップした分だけでなく、今まで以上に資金調達額が増えるわけですよね。

自己資本経営ならまだしも、借入金で調達されている場合は、借入額が増えるわけですよ。

だから、その分の資金調達コストも含めて売価に反映できないと、結果、利益は圧迫されることになるのです。

 

消費税の予定納税がある場合、納税は倍増します

これ、盲点です。

というか、意外と忘れがちなので、あえて書いてみました。

 

売上や仕入れ経費などが、この2年間全く一緒だとすると、下記の金額が予定納税額となります。

8%増税前は、1000万円ー予定納税(750万円=1000万円の4分の1を3回)=250万円

10%増税後は、1250万円ー予定納税(750万円=1000万円の4分の1を3回)=500万円

予定納税額というのは、前年度実績ですので、このような計算となります。

 

つまり、来年決算期の予定納税額は2倍になるのです。

当たり前ですよね、納税額は25%アップ、予定納税は前払なので50%アップです

これ、キャッシュフロー(資金繰り)への影響がめっちゃあるということは、ご理解いただけますよね。

(まあ、この切り替わる今期だけの話ですけどね)

 

では、すぐに出来ることは何か

簡単なやり方をひとつご案内します。

まずは、消費税の昨年の納税額を確認して、その1.25倍の金額を確認します。

そして、その12分の1の金額を、普段の決済口座とは別に積み立てるのです。

これだけでも、納税資金が急遽足りなくなり、急いで資金調達方法を考えなければならないとうリスクを回避することができます。

 

経営者の皆様には釈迦に説法とは存じますが、会社の究極の目的は継続することです。

その際にもっとも重要なのが資金繰りです。

そして、納税というのはまったなしです。

まあ、延滞利息(延滞税)を支払ってということはありますが、そんな経営判断をする会社を、企業の資金繰りにもっとも大切な役割を果たす間接金融を扱う銀行などはどう思うのか、、、

安易な選択は避ける方がいいですし、それよりも、アンテナを立てて情報を取得し、事前に準備することが大切ですよね。

 

そして、僕も消費税の課税事業者なので、人ごとではないので準備します(笑)

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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