週末、家事のついでに、インテリアのセレクトショップSEMPREに、散歩の途中に寄りまして、こまごまとした雑貨を購入しました。
その時、支払い全部「ポイント」で支払ってきました(笑)
実は、大きめの家具をちょっと前に購入したので「ポイント」が貯まっていたのです。
この話、損得って視点じゃなくて「ポイント」とは何か、という視点から考えると、使わざるを得なかったのです…
なぜなら、僕的には、ポイントを貯めておく事は、ファイナンスに関わる人間としては有り得ない行為(笑)なので、いらない物を買う事はありませんが、使える雑貨を購入してポイントを消化しようと思った訳です。
だから、家具を買う時に、ネットでもなく、家具専門店でもなく、インテリアのセレクトショップで発注した訳です(笑)
その理由は、経営者の視点から、資金繰りと決済に密接に関わる問題なので、解説してみたいと思います。
(これ全部ポイントですよ、、、ちょっと、違和感があるんですけどね)
ポイントって、値引きじゃないの?
今回のお話しは、僕の師匠である板倉雄一郎さん(http://www.yuichiro-itakura.com/)から、以前に教えていただいた事を、自分なりに解釈しているものですから、何も目新しい事ではなく、ご存知方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも、値引きしてくれれば、ポイントなんかいらない訳ですが、そこがミソなんですよね。
さて、僕的にポイントを定義するとなればこうなります。
「無利子の貸付金で、しかも、貸付先での決済時に決済金としてしか使えない資産」
わかりにく〜、とか言わないでくださいね。
値引きと比較すると、とってもわかりやすいのです。
値引きの場合、定価との差額分は「キャッシュ(現金)」として手元に残る訳です。
でも、ポイントっていうのは、そのお店なり会社に「貸付金」として、金利もつかずロックされ、ポイント残高として計上される訳です。
そう、お店からみた場合、当面は会計上の数字でしかありません。
さて、あなたの財布からは、定価分のキャッシュが減りましたが、本来の値引き分のキャッシュはどこに行きましたか?
そうなのです、ポイントとしては、キャッシュの移動はないのです。
しかも、貸付金であれば、金利がついて当然ですが、つかないですよね。
さらに、ポイントって、翌日にならないと使えないのですよね。
銀行間ならオーバーナイトでも金利取りますが(笑)
まあ、金額が小さいといっても、理論的には現金値引きよりも不利益です。
だから、ポイントは、無利子の貸付金です。
さて、それ以上に、値引きとの大きな違いとは?
ポイントが、無利子の貸付金だとして、翌日、キャッシュでもらえれば、いいのですが、そうはいきませんよね(笑)
そう、そのお店の決済手段としてしか、使えないのですから。
そもそも、お金って、3つの機能があることを以前のエントリーで解説しました。
(http://www.kizakitoshinaga.jp/archives/187)
1、価値の交換手段
2、価値の尺度測定
3、価値の保存機能
このうち、1について限定される訳ですし、3についてもポイントに期限があれば、保存機能も劣る訳です。
なので、もし、決済時に、現金値引きと、ポイントが選べる場合、値引き<ポイントでなければおかしい事に気づきますよね!
さも、ポイントが倍つきますから、って言ったって、それは、そっちの論理じゃねえかよ(笑)って事です。
なので、オープン価格の商品の場合、定価と、値引きと、ポイントが、ざっくりどう違うのかを考えて、僕の場合は行動します。
「ポイントが貯まるから」って概念じゃなくて
「キャッシュフロー的に、一番有利なのは何か」という視点となります。
なので、今回のように発注する家具か決まっていて、価格がそんなにバラツキがなく、値引きがない時には、ポイントを使えるお店で、かつ、すぐにポイントを消化(貸付金を回収)するのに一番有利なお店で、という行動になります。
もうちょっと、決済について考えてみましょう!
みなさんがモノやサービスを購入するお店、現金決済と、クレジットカード決済では、定価が違いますか?
実は、意識して、日々の色んな経済行動を、お金の流れ(キャッシュフロー)で、できるだけ考えると、いろんなことが見えてきます。
その一つが、現金決済か、クレジットカード決済か、です。
わかりやすい例で解説しましょう。
クラブ(踊らないほう 笑)に行ってお金を払う時に、もし、現金でも、クレジットカードでも、月末締め請求書からの15日現金振込でも、値段が一緒だとしたら、どの決済方法を選びますか?
僕は、「クレジットカード決済」です。
現金と、請求書は一緒で、クレジットカードだと、5%上乗せです、とか言われたら、どうしますか?
僕は、「請求書送ってください」です。
もうおわかりですよね。
クレジットカードで決済した場合、僕らのポイントが増えますが、それは、クレジットカード会社がくれるんじゃなくて、お店が、クレジット会社に手数料として支払っている中から付保されているんですよね。
という事は、お店がクレジットカード会社に支払う手数料が5%だとすると、現金で払っている方のほうが5%余分に支払っていることに気づきませんか!
そうなんです、お店にとって、現金というキャッシュフローを楽にしてくれるお客様よりも、そもそも手数料分値引きされ、かつ、現金化するのに時間がかかるお客様のほうが、有利になるように扱っている訳です。
これって、どちらの顧客が、お店にとって貢献しているのかを考えると、間違っていると思いません?
この点を理解している顧客の場合、現金決済の方が割増しになっていることが理解できるので、自ずと、クレジットカード決済になっちゃう訳です。
定価の概念をきちんと考えてみると・・・
先ほどの視点は、顧客視点ですが、お店視点であれば、僕なら、下記のように考えます。
まず、キャッシュフローに貢献してくれる顧客に報いる為に、現金決済であれば、クレジットカード決済のようにクレジット会社に手数料を払わないし、すぐにキャッシュフローになる訳ですから、他の決済よりも安い値決めでよい訳です。
なので、現金決済ならその場で値引きです(笑)
いつもありがとうございます!キャッシュでお支払いいただいたので値引きです!という事です。
クレジットカード決済や、請求書は、そもそも決済金の回収コストがかかる方法なので、その価格を定価として値決めする訳です。
やっぱり、躊躇しますよね「クレジットカードでのお支払いですと10%加算んさせて頂きます」何て言われると、酔いが醒めますし、ちょっと、残念な感じがしませんか…
すいません、僕だけかもしれませんが(笑)
ならば、定価をクレジットカード決済で考えるのであれば、現金で決済された場合は、
「いつもありがとうございます、大変助かりますので、サービスさせて頂きます」
と、感謝の言葉とともに、サービスの意味を伝え、
クレジットカード決済の方には、
「いつもありがとうございます、カードをお預かりしますので、少々お待ちください」
と、スマートに言ってはいかがなのでしょうか?
顧客よし、お店よし、世間よし
商売における「三方よし」の概念のなかでいう”世間”とは、評判や、倫理観や、社会通念、でもあるとは思いますが、正しいファイナンスの理解でもあると思うんですよね。
一番のお客様には、やはり、一番のサービスをしてあげるのだとしたら、どのような方法をとるのが良いのか、ここは、じっくり考える必要があると思います。
とはいえ、僕も、こんな事言っていますが、正直言えば、好きな人やお店から買いますけどね(笑)
でも、その時に、ファイナンスの側面でおかしなことがあれば、キッチリ意見させて頂いております。
だって、好きなお店ですから。聴いてくれるかどうか別にして、好きな人にはキッチリ言います(笑)
まあ、そうじゃないお店で、そんな事されたら・・・二度と行きません(笑)これこそ、潜在的に、注意すべき点なのかもしれませんけど。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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