クルーグマン先生は、何を安倍総理に伝えたのでしょう?

ポール・クルーグマン先生は、ノーベル経済学賞を2008年に取られた経済学者です。現在もニューヨーク市立大学大学院の教授ですが、僕のイメージは、ニューヨークタイムズのコラムニストです。スティグリッツさんは、元世界銀行だったり、クリントン政権の経済顧問ですから、エコノミストって言えますが、クルーグマンさんは、どちらかというとご意見番的なスタンスです、って怒られっかな(笑)
 

まあ、ジョージWブッシュ大統領は大っ嫌いだし、オバマ大統領の共和党的な経済運営に対して批判して、政権の中核から離れた民主党支援者、そうリベラル派の方です。ニューディール政策のような巨大な財政出動に重きを置く政策の提言が多く、金融政策ではこれ以上の経済運営はできないとまで言っている方です。

ね、アベノミクスを推進する、現在の自民政権の伝統的な経済政策と似ているところがあります。日本の場合、自民党政権も、先の民主党政権もどちらも経済政策は財政出動派で、どうも、財政緊縮派が少ないので、意見を聞くためにお呼びしたとはいえ、消費税増税を先延ばしのためじゃないのか、と言われるもの仕方がありません。

 

でもね、だからこそ、せっかくクルーグマン先生が暴露してくれた、安倍首相との会談の全文が出ているので、ちゃんと読んでから報道をすればいいのに、してないよね。

週末も仕事だったので、出遅れた感ありますけど、すでに多くの方が全文を読んで(今ってさ、googleで翻訳とかできちゃうんだから、ざっくり意訳して、それから読んでもいいよね、でも、すごい環境だよね!)いろんな分析をあげています。
 
マスコミの経済記者の皆さん、もう、昔はそんな原文のソースに一般の方が接しなかったからわからなかったけど、今は誰もがアクセスできるから、やばいよ、今のままじゃ。専門家が専門家じゃなくなるからね。

ということで、ざっきーも、今日は自分の趣味で、原文にトライしてみます(笑)

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ざっきーです。経営者専門の保険屋で、大好きなお客様に寄り添って、財務という切り口からお客様の事業に貢献し、事業価値を向上させて、日々さらされるリスク(不確実性)から、経営者の皆さんをお守りするのが仕事です。

日銀短観もここ2年で最大の下げ幅ですね。株価もそうだけど、それは織り込み済み、これで消費税上がったらアウトだからね、まあ、消費税増税の前に、今期は数字を見てくださいよ、昨年より景況感もかなり悪いですよ。ぜひ、備えてくださいね。もうこの話、正月明けから言うてますけど、無駄な投資とか、経費とか、慎重にされている経営者の話が多いのも事実です。

 

さて、既に日本語訳の完全版が出たなどという話もありますけど、まあ、そこから何を読み解くのか、がポイントですよね。現代の知の巨人たちが、何をどう真実を見極めようとしているのか、特に主義主張がぶれない方をウオッチしております。

そのお一人がクルーグマン先生です。さすが、コラムニストでもあるので、最初に4つのポイントと言っています。そう、骨格を先に示して、詳細を語っていくという方法ですね。この文章構成も、めちゃ、参考になります!

I really want to make four points. The first is that we are now in the world of pervasive economic weakness. In many ways, we are all Japan now. This complicates policy for everyone including Japan.

 

(意訳)4つの点を、指摘しておきたく思います。まず、第一点として、今や我々は、世界中を取り巻く広範な経済低成長にはまり込んでいるということです。つまり世界中が日本になってしまった。これが日本を含め対処するという点においては難しいものになってしまっていると言えます。

要は、もう日本だけの問題だけではないのだから、日本の事情だけ考えていないで、もっとグローバルな視点で、物事を考えてね。

というか、他の国への影響も考えてやってくれよ!という言い方で、一発目からかまされてる感じがする(笑)クルーグマンさんのコラムとかって、そんな感じね。チクチクって。

The second is that the linkages among major economies are strong. They are stronger than much conventional economic discussion suggests, largely I would argue because of capital flows. This is very important to speak about.

 

(意訳)2点目としては、主要経済国間の経済的つながりがより強まっているという点です。この強さというのは、これまでの過去に見られたようなものにとどまらず、いわゆる「資本移動の拡大」が引き起こしたものだと考えられ、これが大変重要なポイントと言えます。

つまり、現在の経済政策を考える上においては、「資本移動」というものが、極めて大きな役割を果たしていて、その意味では、その「資本移動」に制約をつけるような政策を、発動してはいけないということを言っています。

これ、クルーグマンさんがよく言うことね。だから、意図的な円安政策などは、この制約につながるから、もってのほか!ということになります。クルーグマンさんは、通貨安誘導には非常に厳しいっす(当たり前か)

The third, which may be of particular concern here is, we are seeing the difficulty in achieving goals through even very bold and unconventional monetary policy. Kuroda-san here, we will clearly need to speak about that.

 

(意訳)第3には、これが現在、最も悩ましい問題でもありますが、我々はかなり激しく、非伝統的な金融政策を行ったとしても、それだけでは最終的な目標を達成できない、という難しい状況に直面しているという点です。黒田さんがここにおられるので、これについても明確にしておく必要があります。

あーあ、言っちゃったって感じです(笑)これは、マイナス(ネガティブ)金利のような、非伝統的手法を投入して、リスクを取ったとしても効果はないよ!っていう意味です。まあ、金融政策の限界を指摘している訳ですね。

日銀というか、中央銀行が何でもできるような勘違いをするな、中央銀行のそもそもの役割に戻れ!という意味な訳でして、やっぱり、金融政策でできることなんぞ、限界があるに決まってる!っておっしゃっていると思います。

The fourth then is that monetary policy needs help from fiscal and possibly other policies but certainly on the fiscal side, and certainly does not need to be struggling against fiscal policy moving in the opposite direction.

That is not just a Japanese issue but very much a global issue at this point.

 

(意訳)そして、第4点としては、金融政策と言うものは、財政政策や、その他の政策による助けが必ず必要なもので、特に財政政策の役割は重要であり、間違っても逆の方向に行こうという、財政政策を行ってはいけないということです。

つまりさ、こんな今みたいな状況で、緊縮財政などと言って財政収支を合わせようなどとするな!ってことです。で、そしてそれはもはや、日本だけの問題ではないんだぞ、というご指摘ですね。

まあ、この展開は、クルーグマン先生が以前からずっと言ってることなので、違和感がありませんが、これが「消費税増税なんかしていないで、赤字を怖がらずに、さっさと財政出動を拡大しなさい」という話につながってきます。まあ、これを、招待した官邸サイドは使いたいのかもしれませんけどね。

 

これら4つのポイントについての議論が、この後、事細かく展開されるわけですが、僕なりに気になったところだけを、引っ張り出しますね。

 

ずっと前に「通貨が高くて滅びた国はない」ってコメントしたら、クソミソに書かれたりしましたけど、JGB(日本国債)市場を知っている人は、僕と同じ感覚だと思いますよ。

でも、確かにこれだけ通貨安を煽り立てれば、そのスタンスに染まる気もするし、業界によっては、確かに円安は効果があります。でもね、でもね、本質の話は違うと思うんだよね。

People have been betting against JGBs since about 2000. All of them have suffered financial disaster. The robustness of the market is very strong. It is even hard to tell a story.

If someone says Japan would be like Greece, tell me how that happens. You have your own currency. The worst that could happen would be that the yen would depreciate which would be a good thing from your point of view. I do not think that is a thing to be worried about.

 

(意訳)2000年ごろから、JGB(日本国債)が下落する方にかけていた人たちは、とんでもない大損をしました。JGB(日本国債)の市場は、とてつもなく強靭なのです。今や、JGB(日本国債)が暴落することさえ、難しいのです。

誰か、日本がギリシアのようになるというのなら、どうしたらそんなことになるのか、ぜひ私に教えて頂きたい。日本は独自の通貨を持っているではないですか。皆さんはそれ(通貨安)を良いことだと勘違いしているようですが、もし最悪の事が起きるとするならば、それは、その円という通貨の下落ということになりますが、それは当面起きないと考えています。

どう思われますか?僕は、財務省の方は分かってやっていると思っていますが(笑)それにしても「円安が経済成長につながる」って書いている記者とか、エコノミストは、価値はないっすよ。

 

ほら、クルーグマン先生は言っています。「恐れることがあるとするならば通貨安、つまり円安だ!」と、はっきり言っていますよね。ここ、全然報道しませんよね(笑)、かなり痛烈に言ってるのにね。このような、報道姿勢に不都合なことは書かないメディアって、どうなんだろうね。

普通に考えればいいんです。通貨が高くて困るんかい!、高けりゃ安い通貨を買えばいいんじゃ、そして資本の移動は自由なんじゃ、どうやさこやさ、そう考えて、日本円だけ持っとくんかい!ってことですよね(笑)まあ、ええや、円安論者の方々は、そうしてください。それ、明らかにちゃうからな。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

 

僕も、私生活とかは、相当な愚か者ですが(笑)ファイナンスに関しては、仕事柄、ちゃんと学んでるつもりです。金融商品とかじゃなくて、理論理屈をですよ。商品知識とか、スキルなんかは、あれはただの道具、本質を見抜かねば、本当の保険屋になんぞなれませんからね♪

 

そうそう、そして、対談なので、こんな質問を、安倍首相がしています。「なぜ、消費増税の影響が、あんなに大きかったのですか?って。その答えがこれです。これは、僕も前から言うてることやん、という内容です。

I would say that Japan does have some fundamental reasons for why it is hard to raise demand. The demography in Japan is uniquely unfavorable and the working age population is now shrinking at more than 1% a year.

 

(意訳)結果、こういうことになるということは、日本には需要を喚起するのが難しい、という何か特有の経済的理由がある筈です。

日本の人口動態は、ユニークというべきで、労働人口は、今や年率1%以上のペースで縮小していて(経済成長に対しては)アゲインストです。

これは、いろんな方が言ってらっしゃいますが、僕のマーケティングの師匠も、消費者の成熟による、需要の多様化、という分析をされていて、誰から買うかの時代に入った、とおっしゃっている訳ですよね。

アメリカなんかも、需要の多様化というのは一緒でしょうが、それを補って余りある、労働人口の増加がある訳です!でも、日本では、労働人口は減少の一途なので、影響が大きく出るのは当たり前ですよね。

 

でね、最後に、前から言うてる、欧州の見方というのがありまして、これもまたグルーグマン先生の視点が興味深いっす。

In fact in Europe right now, the economic issues have almost been pushed into the background by the refugee crisis, which is bringing about a crisis also in Schengen, in the open borders.

 

(意訳)欧州においては、あらゆる経済問題が、難民危機によって先送りされてしまった。それどころか、「開かれた国境」という、最も重要なシェンゲン条約(EUの理念ですよね)までが、危機に瀕してしまっている。

前にも僕、欧州の問題は難民問題だって書いたけど、経済も相当やばいのに、アメリカと違ってテロ対策も緩かったせいか、一挙に非日常な感があります。フランスも非常事態宣言中だしね。

 

さて、こう考えると、日本、今後どうなると思います?僕らは社会に対して価値を提供し、その交換手段、測定方法、保管機能として通貨「円」を使用しています。ね、これで価値を保存しておいていいのかな?ユーロで保管しておいていいのかな?新興国の通貨で保管しておいていいのかな?僕は、いろんなところに置いています。

 

「卵(資産)を、ひとつのかごに盛るな」、特に僕の仕事はドメスティックだからね。色々考えるとね、実は今は、ちょっとチャンスなんじゃないって思うんです。

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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