役員退職金は2種類?その意味が違うのをご存知ですか?

ざっきーです、経営者専門の保険屋です。僕がいる生命保険業界には「退職金トーク」ってのがありましてね。僕、その使い手でして、かつてはこのトークで、いっぱい生命保険契約を売ってきました(笑)

ロープレの教材に撮られたりするぐらい、それはもう(笑)

損得というニードを過激に刺激して、しかもロジカルに感情にも訴える形で、売りまくってきました(汗)でもね、今はしてないんですよ。

この損得って話、もしかすると、生命保険募集人の誰もが通る道、なのかもしれません。僕の事を良くご存じの、長年のお客様も皆さま、僕のこんなトークを聞かされたと思います。

 

社長、法人所得を個人に移動するよい方法があるのを、ご存知ですか?

法人からの役員報酬を大きくすると、超過累進課税で課税が掛かりますので、所得が1,800万円を超えちゃうと税率50%なので、なかなか切ないですよね。でも、それは給与所得だからであって、法人からの移転所得が退職所得だったとしたらどうなるとおもいます?

何と、退職所得ってのは、①分離課税で、②さらに退職所得控除があって、③その残りの1/2にしか課税されないです!ざっくり言えば、その年の年収とは合算されず、40年ぐらい勤務してたら約2,000万円ぐらいが非課税で、さらに残りも個人所得税の最高税率50%が25%になるんです!

これね、ある特定の方々がよく意味を分かっていて利用するんですけど、それは高級官僚の方々です。彼らは天下りしますが、その都度退職金もらうんですね、報酬よりもこれがミソで、②の退職所得控除は関係なく、①分離課税で、③1/2課税ってところが重要なんです。報酬だと目立つし、課税が大きいので効率が悪いんですね。これ、税制ですから、誰が考えたのが想像してくださいね。もっとも天下りの多い省庁ですよね(笑)

さらに重要なポイントがあって、彼らは場合、退職金の財源は税金なんです。社長、皆さんの退職金の財源は何ですか?

現預金でもいいのですが、それって法人税課税後のキャッシュですよね。法人税が掛かる前に、もしストックできるもの、つまり経費で貯められるものがあれば、それって、退職金の原資を作る入口で、法人税の課税が回避できて、退職金を支払う場合の出口でも退職金という大きな経費を計上できますので、法人税課税がスルーされますよね。さらに個人に移転する時には、退職所得で、個人の所得税が大きく圧縮できるんですが、ご興味ありませんか?

 

ですよね、お聞き頂いていますよね(笑)忘れちゃったかもしれませんが、それ凄いね!っておっしゃってくれましたよね。で、買っていただきましたよね♪

 

さて、このブログをお読みの現役の生命保険募集人のみなさま、どうぞ、パクってください(笑)

ロジックにおかしなことはありませんし、ある側面では正しいのです。法人の経営者の皆さんに、何をしゃべったらいいのかすら、わからなければ、まず上記のトークを分析し、根拠を理解し、徹底的に腹落ちさせ、何度も読み上げて暗記すれば、血肉化しますから、どんな状況でもすらすらと話すことができるようになります。

もしも今、業績が大変なら、このトークをもって、飛び込みしてください(笑)

先方にとっては迷惑な話ですが、耳寄りな話を5分だけと言った方が、時間をとっていただけるかもしれませんし、一定のかなり高い確率で、生命保険契約は売れますから。これマジで。だって、このトークの研修とかを、僕の先輩方が講師として数十万円のお金取ってしてますからね(笑)

僕、もうこの切り口では、話をしませんが(笑)なぜなのか?その訳を、お伝えさせてくださいね。

 

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さて、ざっきーは今、このトークをどう思っているのかというと「各論にすぎない」と思います。詳しくは書けないけど、どの生命保険会社の法人向けセールスマニュアルにも、大体似たことが書いてありますし、これを主としたパンフレットも、多々ございます。まあ、先ほど申し上げたように、有料の販売手法セミナーなんてのすらありますので。

でもね、

経営全般を理解できるようになると「税引き前利益を簿外に」という経営判断は、経営者の稼ぐ力である営業利益、経常利益をさげ、自己資本比率の積上げができない、という側面があることに気付きます。そう、それがあまりにも過大であれば、経営者が、自分自身の成績を下げるという行為でもあります。

 

また本来であれば、事業そのものの収益率が高い場合、簿外に貯めたり、個人に移転するよりも事業に再投資する方が、複利運用の効率は高く、また、個人への移転方法も、報酬や、退職金などではなく、配当であれば一律20%ですから、実は、経営の本質を知れば知るほど、各論だなぁと思うようになる訳です。

 

ですよね。経営と所有の分離ができれば、オーナーである株主は、報酬など受け取らず、配当で受け取ればいいのです。しかも、そうなるような企業であれば、その企業が継続する限り、半永久的にです。

経営者にゴールなんてありませんが、そのゴールってのは、間違いなく自社ビルを建てる事でもなく、新たな創業を無理やりするものでもありませんよね。安定的に継続できるようにすることと、次の経営者を準備する事じゃないかなと。

いつかは後任に事業を承継し、できれば経営と所有の分離をすることで、本当の意味で資本主義というものを体感する事ができますよね。そして引き継ぐ前までに豊かにならないと、なかなか引き継げない、という事もまた事実ではないかと。

 

さて、そんなふうに考えますとね「役員退職(慰労)金」というのは、節税ツールとして一般的には取り扱われていますが、僕自身が何年もお客様に寄り添い、お客様の決断をそばで見ているうちに、ぜんぜん違うことに気付いたのです。

世の中の保険屋や、税務顧問も同じようなものですが「役員退職(慰労)金」については、本質的な理解をしてないんじゃないかと。あるお客様とのご縁を通して、そのことを知ることができました。

 

そのお客様とは、事業を引き継ぐ、後継社長の方から先に、ご縁を頂きました。自動車関連部品を作られている製造業をされていますが、先代からずっと利益率を重視され、経営に関してもできるだけ派手にならぬよう心掛けられ、できることは自社でという自前主義を貫かれた結果、自己資本比率85%という、とてつもない、これぞエクセレントカンパニーという会社でいらっしゃいます。

この場合、顕在的な問題点としては、事業継承と、相続税評価額が相当高い自社株式の相続、という問題はございますが、それは置いといて、僕が先代から伺った話が、ぐっと来たんです。

その先代は、こう、おっしゃいました。

 

「退職金など私はいらない、なぜなら、今までちゃんと稼いで個人で報酬も取り資産形成もできた。

 それに、会社は未来の為にあるべきで、今もいる従業員のためにも存在しているのだから、

 退職金などというお金を、今、受取る必要はない。

 ただ、自社株の件があるので、自分が死んだときに退職金を払う事で、株価評価が下げられ、

 しかも、納税資金が後継者にいくなら、その時までとって置けばいいし、準備できてればいい」

 

と。

これ、伝わっていますかね。勇退退職金は要らないけど、死亡退職金があることで、家族や、後継者や、会社や、従業員に影響が及ばないようにというご判断なんですね。

さらに、この続きがありまして、この話をうけた、後継者の方がおっしゃった内容も凄いのです。

 

「会長、そういっていただきありがとうございます。

 退職金の件については、私に一任してもらえませんか?

 ざっきーに教えてもらったのですが、創業者の退職金というのは、

 役員をおりる「みなし退職」と、完全に会社から離れる「本当の退職」があり、

 今回は事業承継に伴う退職です。

 ならば、勇退退職金については僕の方で、創業者であり功労者でもある社長に対して、

 相応な金額を支払いたいのです。

 ご希望に沿うかどうかわかりませんし、税務上の役員退職慰労金損金算入の事や、

 今後の会社運営のためのキャッシュフローも考え、任せて頂きたいんです」

 

と。

僕、この話を聞いた時に、ぞくっとしましたもん。お二人は親子でもいらっしゃいますから、もちろん意見の対立や、その他もろもろで、しょっちゅうぶつかってましたが、原理原則は決して、外されないのです。

それは、儲からなければ報酬は取らないし、儲かったら自分たちも報酬を取り、従業員や取引業者などにも分配し、その上で利益を積み重ねていく。その意味では、利益率を重視していますので、顧客の選別も厳しいし、自らへの律し方も厳しく、真っ先に削減する経費は役員報酬と断言されているぐらいです(笑)

経営そのものも、予算に見合った売上がないと経営が厳しくなる予算主義ではなく、常に利益率から考え、利益が上がらなければ絞るところは絞る、という経営をされてきたからこそ、このような結論に至たられたのかなと思います。こんな方々の話を聞いていますとね、

 

つまり、役員退職(慰労)金というのは2つあります。

 1)死亡役員退職(慰労)金 と、

 2)勇退役員退職(慰労)金 です。

 

いままでの文章を読んでいただいた上で見て頂くと、全然違うと思われませんか?

 

実は、こんな話を、ここ数年しておりまして。ちょっと前も、そのお話をさせて頂いている、僕が大好きで大切なお客様から、こんなお話を聞かせて頂きました。

 

「先代から先日言われたんだ、今期で代表権も含め役員も退任すると、

 つまり全部渡すと。

 株式も非上場株式の贈与税の納税猶予を使って移転させるから、あとは任すと。

 でも、それを「はい」って受けたんじゃあ、親父の土俵のまま、、、

 それじゃあ、いかん!

 俺はね、親父に退職金を払うことにしたよ、いいんだよね、それで?」

 

痺れました、素敵です、素敵すぎ。伝わっていてたんですね、退職金には2つの種類がある事を。つまり、

 

死亡退職金」というのは、事業を渡すほうの方が事業承継者に対して、

 責任をもって準備する事であり、

勇退退職金」というのは、事業を承継する方が先代に対して、

 感謝や慰労などの想いをこめて準備するものなのではないでしょうか?

 

まあ、僕が今まで経験したきたことなので、こうじゃなきゃ、なんて思っているわけではもちろんありませんが、いろんな経験をしてくると、そもそも誰が考えても真っ当なことじゃないと、経営ってうまくいかないんですよね。

僕がかつてやっていた「退職金トーク」なんてのは、損得の話だから、ちょっと本質からずれていることが多いんですよね。だからなのか、継続されず…なんてことも多いわけですよね。

やっぱりシンプルに、事業を継続していく中で、優先すべきは本業の儲けであったり、未来への投資であったり、結果、自己資本比率が高くなっていくといった、豊かな会社になっていく過程で、自然と個人の資産形成がなされていかないと、なかなか思い描けないことなのではないのかな?って思うんですよね。

 

さて、先ほどの、先代の経営者の方から教えて頂いた言葉があります。僕自身の仕事の支えにもなっている言葉なので、ご紹介させてくださいね。

それは「迷惑をかける事だけは避けたい、その点では生命保険契約というのは、迷惑をかけないためにお金を買っておく手段だよ」という言葉です。僕は、そのお話を伺った時に気付いたんです、保険とは、お金を買ってもらうことなんだ!何とシンプルな、真理なんだと。

 

ちょうど新年度、4月入社の新たな仲間に、歓迎も込めて贈った言葉は、こんな感じでした。

「社会で誰かを支えて経済活動をされている社会人であれば、どんな立場の方であっても「自分に何かあった時に、迷惑をかけないようにする」ということは大事じゃないかな。それをヘッジするものとして保険を買ってもらう、そうシンプルに考えてみたら?」

さて、伝わりますかね?

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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