東芝はサザエさんの提供を、続けられるのでしょうか?

年も押し迫り、日本は、年末年始休暇に入りますが、世界は、暦どおりなことを忘れないようにしたいです。

海外、特に欧州と米国は、クリスマス休暇が終わりましたので、正常運転に戻っています。

そんな中、日本の株式市場というか、世界からの取引先として注目を浴びる2つの案件があります。

そう、東芝と、シャープです。

 

特に東芝の問題は、過去にこのエントリーで言及していますが、

東芝自身にとっても、日本という市場にとっても、

相当な問題を引き起こすと予測していましたけど、、、

いよいよ、本当に潰れちゃうかもしれない、

という感じになってまいりました。

 

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ざっきーです。経営者専門の保険屋です。

企業はその規模に関係なく、価値創造の仕組みは一緒だし、

経営者の腕の見せどころは、P/Lも大事だけど、

B/Sにおける、経営資源の「調達と運用」

これをチェックしたり、判断する決算書が粉飾されていたり、

表現が間違っていたりすると、本当の経営危機に直面するということ。

 

だからお伝えしたいのです。

数字は数字ですが、意味を理解して、扱って欲しいと。

 

皆さん、ご存知ですよね、シャープが崖っぷちなのは。

報道もされていますけど、実は、東芝も、結構やばい。

 

この記事、ご覧になりましたか?

 

東芝をBa2に格下げ、さらに格下げ方向で見直し

格付け会社のムーディーズは、東芝の社債の格付けを、

・シニア無担保債務格付け(長期) Baa3 → Ba2

(で、さらにBa2を引き下げの方向)

・短期格付け P-3

と発表しました。

 

スタンダートプアーズとは、ちょっと、格付けの記号が、

ムーディーズの場合は違いますが、

Baaってのは、トリプルビーといって、Bが3付いている真ん中の格付けから、

2つ付いている格付けの真ん中に、一気に落とされたということです。

そう、4ランクダウンということですよこれ!

 

ちょっと奥さん、そこの奥さん!

4ランクダウンてあんた、どんだけ格付けが落ちたんよ!

ってことなんですが、まあ、触れられないよね、、、

大スポンサーだからかな?

 

まあいいや、

 

この格付けってやつですが、ポイントは、Baa(S&PだとBBB)までは、

投資適格債券とされていまして、機関投資家や、企業年金など、

資金を公に運用する投資家が購入できる目安となっています。

 

で、Ba(S&PだとBB)以下は、いわゆるジャンク債グレードとされ、

投資不適格債券と認定されることになります。

 

ちょっと気になって、裏を取りました。

どことは言いませんが、機関投資家の財務部トップから、

聞いた話でございます。

 

そもそも、いち企業の格付けを、

一気に4ランクも落としてくるのは、

さすがに異例中の異例だそうです。

 

過去、このような4ランクもの急激な格下げがされた場合、

まああっても、海外でのケースが多いとはいえ、

ほとんどの企業が倒産しているそうです。

 

それと、今回のポイントは、

短期格付けの部分で、これは馴染みないかもしれませんが、

格付けとしては、P-1、P-2ときて、さらにその下のP-3!

まで下げられた事です。

 

そもそもこの、短期格付けというのは、

1年以内の(実務的には9か月以内で扱うことが多いです)

短期債務についての格付けですから、

普通に上場してるような企業は、よほどのことがない限り、

最上位のP-1という格付けとなります。

 

大企業の場合、確かに、長期債の格付けが、

ジャンク債グレードにされる事があっても、

この短期格付けが、P-1から引き下げられるというのは、

滅多にあることではないそうです。

 

東芝自身は、有利子負債に対して、それほど多くの社債を発行している訳ではないので、

直接的な影響は少ないと考えます。

 

でも、そうはいっても、

この格付けの引き下げで、GPIFを除く年金基金は、

東芝債を保有していれば、売却しなければなりません。

 

そう、

強制的に、すぐにです。

 

これが、リスク(不確実性)をコントロールする、

優れた方法だからです。ルールで決められています。

 

えーっと、

ちょっと話はズレますが、

恐ろしい事に、どうやらGPIFは、ハイイールド債=ジャンク債、

つまり、投資不適格債券への投資を開始しております。

 

もしかすると、市場に叩き売られた東芝債を、

買い集めるかもしれません。なんじゃこりゃ、って話です。

正月明けからの国会で、野党もちゃんと、この事やってね、マジで。

 

で、

年金基金だけでなく、一般的な機関投資家も、

同様のルールを持っているところは多いのです。

そう、だから、東芝債の保有の有無をチェックし、売るしかないので、

ここに来て、年末年始とかって、えー、って話なんですね。

 

とはいえ、東芝の場合、有利子負債といっても、

ほとんどが銀行融資、

 

まあ、銀行融資は、普通は、有担保になっているので、

この格付けが、直接作用することはないとは思いますが、

それでもシニア無担保社債が投資不適格になった訳ですから、

担保そのものの査定の見直しなどは、迫られる事になります。

 

そして、何よりも、

短期格付けがP-3に落ちてしまったことで、

運転資金の調達に、支障をきたす可能性は十分にありえます。

 

銀行によって基準は、もちろん違いますが、

P-3と言えば、完全に要注意債権になるそうでして、

銀行も引当金を積まなきゃならないから、おいそれといきません。

 

実務的には、期日が到来した短期借入を、今までの東芝であれば、

そのままロールオーバー(返済もせず約束手形の日付を書き換えだけする)する、

というのは、さすがに、まずいよね。

という判断をすることになるのではないでしょうか。

 

そう、経営者の皆さんも経験ありませんか?

今まで短期融資が、ロールオーバー(書き換え)だけで済んでたのに、

とりあえず、一度ご返済いただきまして、

それで、すぐに折り返し実行しますからって、ヤツです。

 

あれ、決算書を出した後で、やられたことありませんか?

そう、黒字でもね、前期も、今期も黒字でも、やられたことありませんか?

 

多分、それ、銀行側の問題なんです。

 

というのが、銀行も、支店に対しては、貸出先の債権者区分が

正しいかどうか、決算書の細かなチェックをすることがあります。

そもそも、中小企業の決算書の精度を信じてないので(一般論ですよ〜)、

決算書の中の貸借対照表(B/S)の査定を、毀損資産はないか、

短期貸付金や、未払金などの不良資産はないかなど、銀行側で実態B/Sを作って、

チェックをしています。

 

銀行内部での、そうゆう検査を定期的にやらないと、

監督庁である、金融庁から調査が入った場合、大変なことになりますから。

 

だから、その会社の成績表であり、社会的信用の源泉である決算書を、

粉飾していた東芝が、いくら、決算を修正しても、銀行は銀行で、

自分たちでも査定しなければなりません、、、

 

そうなってくると、今までは簡単だった、短期借入金なども、

石橋を叩いた実務運用になってきますから、状況によっては、

資金繰りでアウト!ってことも、十分に考えられる訳です。

 

まあ、東芝って「原子力」に大きく関わっているので、

ある種「国策会社」だから、大丈夫だよ!という意見もありそうですが、

さて、そのような事が、本当に許されるものなのか、

こうゆうところを、何で、報道しないのか、

何で、突っ込まないのか、など、疑問点満載ですが、、、

 

この東芝問題って、ウオッチするだけで、学び満載ですよ!

 

というか、経営者の皆さんには、チャンスでもあるので、

ウオッチして、欲しいなぁ〜

 

僕は、今後の動きに注目していきます。

だって、経営に関する気付きの宝庫ですからね。

 

さて、個人的にはこれだけの粉飾決算をして、

さらに、実際の業績がこれだけ悪く、

しかも、今後どうなるかわからない原子力部門を抱えている会社が、

こんな資金調達の状況で、普通に延命できるとは、到底思えません。

 

だって、有利子負債は1兆円以上ある会社ですよ、

この資金繰りは、相当、大変です。

イメージとしては、メガ三行が寄って集まっても、

支えきれない可能性があると思います。

 

だから、ちょっと、頭にきたのが、

記者会見で、サザエさんの提供について聞かれた時に、

「できるかぎりは継続したい」

って、

 

本当に、危機にあると思っるんですかね、

リストラ1万人するし、銀行団にリストラ費用3,000億円って、、、

 

経営は利益を出すことは当然として、

その本質は、B/Sの調達と運用のマネージメント。

その数字の粉飾するなど、どれだけの非道な行為か、

規模の大きさとか関係ないですよね。

それが信用を毀損し、資金調達が困難になれば、

規模も関係なく危機が起きる。

 

僕は、僕のクライアントには、そんな想い、させたくないな。

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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