サウジアラビアのアラムコがIPOするけど、その意味は?

普通に書けば、IPOとはInitial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)の略ですから、未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを言います。

これ、投資家から見た視点なんだけど、売出す未上場企業の側から見たら何になるのかというと、企業のオーナー権である株式を手放す代わりに「資金調達」をすることですよね。

IPOは資金調達の方法

そうなんです。いろんな立場で、いろんな意味合いはありますけど、株式を売出す企業のオーナーの立場から見れば、それは「資金調達」なんですよね。

じゃあ、資金調達の方法はというと、企業側からみますと、ざっくり3つです。

  1. 間接金融(銀行からの融資とか、返済期間や金利決まっている社債など)
  2. 直接金融(株式を売出すことによる出資)
  3. 内部留保(税引き後利益の蓄積)

とまあ、こんなところです。では、もしですよ、資金調達が、3)の内部留保で出来たらいいな〜って思いません?だって、何に使ったって、誰からも文句も言われないし(笑)返済する必要もないし、株式自身に配当したっていいですよね。

 

やっぱり目指すは、自己資本経営

そう、直接金融で調達すると、企業オーナーと、割合は違いますが同等の権利を持った株主が生まれる訳ですし、間接金融で調達すると、金利や返済をする必要が生じる訳ですよね。

そう考えると、未上場企業であっても、資金調達に問題がなければ、つまり資金調達が内部留保という自己資本でまかなえるのであれば、直接であれ、間接であれ、資金調達をしなくてすめば、それが一番いいのです。

だから、経営者の皆さんのビジョンが、成長であっても、現状維持であっても、M&Aでの売却であっても「自己資本経営」を目指すことは、あらゆる経営ビジョンを達成るための、メルクマール(最終目的を達成するための、一連の過程における、中間指標や目印のことを言いますねん)である訳です。

そして、自己資本経営を目指すのであれば、利益を出すこと、これしかありません!利益を出せば、課税はされますが、自己資本は分厚くなります。利益を出せば、外部株主も文句は言いません(笑)そして、利益でしか、間接金融の借入金は返済できませんからね。

 

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ざっきーです。経営者専門の保険屋です。法人保険という世界で、金融機関や士業から指名されるようになりましたが、理由は、保険屋である前に、経営者のビジョンを達成に貢献する、というスタンスだからかもしれません。

わかりませんよ、本当のところは(笑)美味しいものを、一緒に食べるからかもしれませんし、そこはわかりません…

でもね、経営者ご自身のビジョンと、違ったことを要望された場合や、自分の解決方法や商材が、経営者のビジョンに合わない場合は、既に実行されているものであれば、解約いただきますし、そもそもお勧めしません。

そんな青臭いことを言うとりますから、金融機関や士業からご紹介を頂くのかもしれませんが(笑)結局、よくわかりません。僕は、僕じゃないと出来ない事で、大好きなお客様に寄り添えればいいので、片思いになろうとも、このスタンスだけは、続けていきたいなと思います。だって、好きなもんは、好きだからさ。まあ、お節介なんでしょうね(笑)

 

だから、仕事を通して、いろんな経営ビジョンや、課題についてお話しするので「IPOしたい!」という相談も受けますよ。

そんな時に、「社長の夢、凄いですね〜、頑張ってくださいよ〜」だったら、誰もが言うでしょうから、僕はこんな風に伺います。「で、その資金を何に使われるのですか?」と、「その資金はビジョンの達成に、どう影響するんですか?」という質問です。ね、こう考えると、本質的な世界が見えてきませんか?

特に、企業の利益や、資金繰りに、良くも悪くも影響するのが生命保険契約なので、このスタンスがないと、経営者の皆さんや、企業の財務そのものを傷付けてしますので、本当に注意が必要なんですね。中途半端な理解は、財務という世界では業績を直撃しますので、自分を戒めながら散り組んでいきたいなぁと思います。まあ、常に勉強が必要ですね♪

 

サウジアラビアのアラムコの話

さて、ということで、世界三大産油国(アメリカ、サウジアラビア、ロシア)の中の一国、サウジアラビア(サウド家のアラビアっていう名前の王国です)の国営企業であるアラムコという会社。

王家が支配する国の国営企業の株式を、何で売り出してまで「資金調達」が必要なんだろうか?というこの点について考えてみると、ちょっとした気づきがありました。

 

需給のバランスによって、商品の価格というものは決定されますが、原油価格においては、アメリカのシェールガス開発や、新興国での需要減のため、世界的には供給過多となり、原油価格は2年ほど前に比べて、1/3程に下落しています。

これによって、原油を産出して稼いでいた国は原油価格の下落によって、財政の歳入が急激に減ってしまいますが、国を運営するためには、やっぱ、お金が入りますよね。

ましてや、王国ですから、支配統制のためには、それ相応の財政支出のよって、国民の不満感を和らげる政策がとられてきた訳ですよね。まあ、緩やかな独裁ですよ。だから、歳入が減ったからといって、今までのバラマキをやめる訳にはいかないんですよね。

だから、歳入を増やさなければならない、だとすると原油を増産する、となると需給バランスがさらに崩れ、原油価格が下落する、、、こうゆうスパイライルに入っていた訳です。

 

ちょっと置き換えてみます

さて、これ、経営者の皆様に置き換えてください。売上が減った場合、会社の歳出(つまり経費)の中で、一番影響が少なく落とせるものは何でしょうか? 実は「役員報酬」ですよね(笑)

まあ、この話、税理士さんは言いにくいでしょうね、だって、経営者の皆さんは、税理士さんから見た場合、お客様だから。まあ、面と向かって言いませんよ!多分、2期連続して赤字とかになっちゃうと、銀行は言いますね、僕の経験からするとですが。

だって、従業員の給与や、労務費は手をつけられません。これは当たり前ですが、その他は、経費を少しづつ見直すしかなく、華美に使っていたのだとしたら本末転倒ではありますが、直ぐに抑えればいいものは、意外と少なくありませんか?それに、長期契約であったり、ローンが組まれたりしているものは、簡単には落とせません。

 

で、それって、経営者の皆さんの個人の生活費ではいかがでしょうか?という話です。

当たり前ですが、経営者の皆さんもうちに帰れば、パパや、ママですから、生活費や、教育費、住宅ローンや、様々な固定費がありますが、それって、役員報酬が支払われることを前提に、設定されていたりしませんか?

その場合、個人の生活を維持する、というか、そこにロックされている支出がある場合、役員報酬をいじることができません。だからこそ、普段の報酬のうち、一定割合を個人資産として積み上げ、個人の資産形成を行って、いざというピンチの時に備えるわけですよね。

経営者の個人資産は自己資本と言われる由縁です。

 

これ、サウジアラビアも一緒でして、今までは、原油採掘して、海外に売って、儲かったお金を国家財政にぶち込んで大盤振る舞いして、それで政権を維持してきたわけです。

しかも、サウジアラビア通貨庁という政府系ファンドで、貯金もしていたのに、それも、急激な原油価格の下落で、急遽キャッシュが必要になって、無残に売り飛ばして、現金化せにゃならなくなった訳ですよ。

それぐらい、追い詰められて、考え出されたのが、このアラムコの株式公開、だと僕は思います。

 

経済取引というのは、何かと何かの交換な訳ですが、今回のアラムコってのは、世界最大の上場されている原油メジャー、エクソンモービルの2.5倍ぐらいの原油産出量を誇る有数の原油採掘会社です。

でも、その価値をルックスルーすると、価値の大部分は将来産出される原油の埋蔵量であり、何か付加価値を生み出すものではないことに気づきます。

 

確かにエクソンモービルの2,5倍の時価総額だとすると、エクソンモービルが約3,600億ドルですから、アラムコの推定時価総額は、ザクッと約9,000億ドル。

このうち、10%を新規公開売り出しするとしたら、約900億ドル(約10兆円ってことね)の調達となり、今までの最大がアリババの約250億円だったから、いかにすさまじい規模か!って話になるんだけど、、、

 

でも、これって、サウジアラビアの未来の原油採掘から産み出される価値を、バラ売りして、手放して、今の現金を手にする取引なんよね。

そう、将来の得られる価値を、現在価値に割り引いて、現金化した資金なんだから、この資金を使って赤字を埋めるだけだと、将来の価値の先食いなので、、、とてもまずいんですよね。

 

国であれ、企業であれ、価値を生む出す仕組みじゃないと

さて、思い出してください。IPOは資金調達だと言いましたが、その調達した資金を使って、さらなる価値を産み出すことに使えないと、未来はどんどん厳しくなってしまう、この事に気づきませんか?

間接金融の場合でも、金利など、やはりコストは掛かる訳ですし。

やっぱり、一番いい資金調達の方法ってのは、自己資本を積み上げることなんですよね。サウジアラビアも、そんなことは知っていますから、そうしていたんでしょうが、長年にわたる、原油市場での価格統制の結果、大盤振る舞いの歳出が固定されたことも否めません。

 

また、自己資本にあたる、サウジアラビア通貨庁自体も、不動産や長期の債券などが多くなっており、市場の変化に伴う、急激なキャッシュ化のタイミングでは、相当な投げ売りになってしまってました。

これこそ、ルックスルーしていただくと、企業経営と何ら変わりのないことにお気づきになりませんか?サウジアラビアの場合は虎の子のアラムコのIPOという手段がありましたが、その前に財政支出を削減や、自己資本の流動化などが対策されていれば、もっと早くに手を打てたのかもしれません。

 

もちろん、これは原油市場という舞台での、アメリカと、ロシアと、サウジアラビアの代理戦争なんですけどね。アメリカのシェールガス革命というのは、戦略であり、強力な外交カードであることは間違いありません。

やっぱり、固定費の流動化や、バッファー(余力)を持つことは大事だと思いますし、いざという時の、自己資金の流動化というもの、合わせて大事だなぁと思った訳です。

「サウジアラビアのアラムコのIPOが10兆円の資金調達!」って、字面だけ見ると、凄いなって思いますが、実は、未来の先売りだとすると、ちょっと違う世界が見えてきませんか?

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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