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「お金」は社会の議決権、社会的貢献投資は今すぐできる

今日は平成23年3月11日に発生した東日本大震災から5年です。この5年、長くもあり、短くもありますが、あの日の出来事は否応なしに思い出します。うん、胸が苦しい、心が痛い、でも、今は生きている、どんなことがあっても、命ある限り、今を生きていく。これだけは忘れちゃいけないことだと思います。

 

僕が知っている世界というのは、教科書程度のものだけど、そこにある命の全てから見れば、偶然にある今日の自分の命というのは、それ自体が奇跡のはずですよね。僕はどんなに苦しくても前を向いて、生きていくと決めています。仕事柄、見送りすぎたからかもしれませんけどね。

それに、この地球上では約12%の人が今でも飢餓に苦しんでいます。日本にいると飽食ですが、世界では9人に1人が飢餓に苦しんでいる、これが現実です。

そうゆう情報は、数字であったり統計であったりしますが、実際に夜の街に潜ってみると、そこには格差が存在しますし、仕事柄、いろんな方のライフプランなどを伺っていたり、相談に乗ったりしていると、明らかに相当なスピードで格差が開いているのを実感します。

 

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世界中で、この格差の問題が顕在化して、トマ・ピケティさんのベストセラー「21世紀の資本」でr>g、経済成長率よりも資本収益率の方が大きく、長年続いてきた資本主義の負の側面が、クローズアップされているのも事実だと思います。

実際、リーマンショック後の世界経済では、金融緩和によって、資本主義のシステムであるマネーが大量に供給され、だぶついている状態になっています。どれぐらいの金額かというと、100兆米ドル、つまり、日本円で1京1,000兆円という金額です。凄いですよね、この金額!

 

そんな、価値の尺度であり、交換手段であり、保管方法であるマネーが、大量に存在するのに、どうして、ホームレスや失業、難民や貧困という問題に使われず、経済格差は解消されないのでしょうか?、、、

 

本来は、国家の機能として、税収による所得の再分配機能が、格差を埋め、福祉を充実させると言いますが、ピケティさんは、その著書中で、データを用いて否定してみせたわけです。そして、唯一r<gになった歴史的な要素というのが、戦争だったという、いやはや嫌なファクトを提示したわけですね。

あの本の本質は、グローバルな資産課税などという実現不可能な政策提案じゃなくてね、よく読むと、戦争というものが、資産格差をリセットし、その上で経済成長がけん引されることを、歴史から読み良いて見せた訳です。ちょっと、暗くなるね、だから、みんな、ちゃんと読まなかった気がするんです。

 

まあ、そんな資本主義ですから、何となく毛嫌いしたり、もう終わったといったりする方もいらっしゃいますし、それはそれで意見なので、僕はそれも尊重しますが、資本主義における貨幣などのシステムは、紀元前以前から存在し続けており、それは、本来は社会的な動物である人間が、お互いに支え合って社会を運営していくための知恵の一つですから、そう簡単には手放せないと思うんです。

もちろん、僕も、いろんな弊害があることは理解していますが、国家社会主義や、共産主義など、19世紀から21世紀まで、世界中で大規模な経済システムの実験が行われた訳ですよね。しかも、多くの人の命や生活が犠牲になってです。それらの実験の結果検証はもう既に出ていまして、今の人類は、資本主義以上の金融システムを生み出せてはいません。もちろん、問題はあるけどね。

これが現実ですよね。だから、金融などという、資本主義の根幹に関わる仕事に従事するのだから、僕は、理念を持って取り組みたいのです。それは傍流であってもね。

 

さて、そんな僕は金融の世界にいるので、一例ですが「ゆるい上場」などという文言を見ると、そのままの言葉で受け取れないんです。いや、それは違うとかそうじゃなくて、そのキャッチコピーこそが、資本主義のシステムそのものを担保することになるじゃん!って思うからなんです。

「ゆるい上場」というのは著名なコピーライターの糸井重里さんが、ご自身の会社(ほぼ日刊イトイ新聞を運営している会社です、売上高30億円の会社なんですよ)の株式公開(どうして直接市場から、資金調達したいのかも、よくわからんけど)について検討されているんですが、上場企業のように、四半期ごとの収益などを求めることをせず、もっとおおらかで、会社を応援してくれる方に株主になってもらい、ご自身に何かあっても、会社は継続させ続けて欲しい、ということで提唱されています。

この「ゆるい上場」とは、ルックスルーすれば「経営に介入しない優先株主の募集」じゃね、ということで、言葉のイメージだけだとプラスの面を捉えられますが、実は、どっぷり資本主義システムの中にあるので、それは間接金融の代表、銀行融資でいいんじゃないかな?逆に、資本で調達する方が、おかしくならないかな?って、錯誤を生じかねない懸念を感じちゃうんです、考えすぎかもしれませんが。

だた、この論点は、糸井さんご自身が、ブランドの価値そのものでありますから、ご自身が亡き後の会社の継続を求められるなら、株式公開などせず、それこそ、低配当を甘受する投資家を集める方法を模索すればいいのだけど、それはリスクとリターンがきちんと相対化された場合のみ機能するわけで、そうゆう意味では、資本主義というのは、非常に機会の平等を担保しているシステムだと思うんですね。

 

もう本当に単純化すると、資本主義というものの特徴の一つが、将来価値を現在価値に割り戻した際に発生する割引率を金利に変換することで、リスクとリターンをトレードオフの関係とし、公平に投資資金にレバレッジをかけられることじゃないかな、って思うんです。

分かりにくいかな?

それぞれの社会への関わり方の違い、具体的に言えば、株主は利益が出た場合は、利益が極大化する代わりに、すべてを失う可能性があるのに、従業員は、時間と労働のみを提供することで利益を得るものの、失うもの少ない、と分解すればわかりますよね。そう、このように大きな意味での投資機会の平等が図られているんです。

これは、いろんな金融商品を開発する場合にも用いられてまして、ある程度の予測ができるものは、すべて金融商品になります。大災害の保険とかってのは、これ、誰かがリスクを引き受けることで、大多数の災害にあった方を救うことができる、こんな視点も金融機能の一つなんですね。

金融商品は儲かりますが(リターン)、それと同じく、リスクがある訳です、当たり前ですよね。ということは、あまり儲からない金融商品は、リスクが少ないことに気づきませんか?

もっと言えば、そもそも現状でのリターンが少なければ、そもそも儲からないということです。翻って、現在は、どんな状況でしょうか?一番のリスクフリーマネーである国債(JGB)は、何とマイナスの利回りに…

ということは、そもそもリスクが少なくリターンも、もっと少ない状況の陥ってきたら、マネーがいくらあっても、リターンを生む出さないわけですから、世界経済が良くなるわけもありませんし、多少はリスクがあってもリターンも見込めるものに投資をしていかねばなりません。

これが、社会的貢献投資(ソーシャル・インパクト・ボンド)と言われる、どこにも投資先のない、莫大なマネーを、貧困や格差で苦しんでいる方々に投資をして、生活を立て直してもらいながら、少しのリターンを目指そう!という最新の金融の考え方の背景にあります。

 

最近、社会貢献投資っていうキーワードが、目に付くようになりました。僕自身も、ソーシャル・インパクト・ボンドのレポートを読んでいたり、つい先日、NHKのBS1スペシャルでも特集があったりと、マネー資本主義の申し子のような方々も、おかしいぞ、なぜ、世界にはこんなにもマネーが溢れ、自分たちも使い切れないぐらいのマネーから納税しているのに、どうして再分配されないんだろう、と気づいた人たちが、具体的な行動を取り始めている気がしてなりません。

金融工学の基本を理解すると、あることに気づきます。それはある程度予測できるリスクに対しては、その際に必要となる「お金」を金融の仕組みとして集めたり、運用したり、準備したりすることが可能だということです。

背景には人の強欲をどうコントロールするのか、という問題はありますが、それに挑戦するのは、もしかしたら国家ではなく、国を超えたマネー、それに関わる業界なのかもしれません。

実際に、各国の公的年金という機関投資家は、世界的な低金利の時代に、一部を社会的貢献投資に振り分け始めています。これは、僕は、いい流れなんだと思うんですね。

国家が行うと福祉や、補助金や、助成金ですが、これはなかなか効果が出にくいのです。なぜなら、それで助けられても持続可能ではないから。社会的貢献投資は低リターンですが、長期に回収するので、投資先の地域やコミュニティーなどが回復しなければなりませんので、息の長い支援が可能となります。東日本大震災からの復旧の途中である現在、同時並行ですすでいる地方再生の問題に対する、一つの回答になり得るのかもしれません。

 

なんか、書いていたら、大きな話になっちゃいましたが、僕自身はすぐに、いつでもできることを心がけています。それは、僕の師匠の一人である板倉雄一郎さんに教えていただいた「お金」は社会の議決権、というものです。

資本主義の根幹は、一人一人の社会参加であり、社会に対する価値創造を提供し続け、皆んなで分担しながら成長を続けることです。その際に用いられる道具が「お金」です。これは交換手段として行使されますので、僕は、行使したい先を選んで、行使するようにしたいなと。

例えば、預金というのは、ルックスルーすれば、国債(JGB)を購入することですから、政府への価値の移転です。日本株式のETFを購入するというのは、上場企業、つまり自分が応援する民間企業への価値の移転です。

どちらがどうだ、という話ではなく、あらゆる「お金」を使うというのことは、社会に対して何に、自分自身が生み出した価値を移転させるのか、という話になるんじゃないかなと。

経営者の皆さんは、どこにご自身が生み出された価値を移転されますか?これは、資本主義の根幹をなす考え方であるとともに、本当の意味での「つながりの経済」を実現するためには必要な大前提なんじゃないかな、なんて思います。

僕は、だから、好きな方と仕事がしたい。そして、好きな方に支払いたい。価格ではなく価値に注目する、利回りそのものではなく何に投資しているのかなど、応用はいっぱいありそうな気がするんです。そうなると自分のためだけじゃなく、ちょっとは広い視点を持てるようになるかも、僕はそう思います。

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木﨑 利長

木﨑 利長

ざっきー
1968年名古屋市生まれ。金融機関に勤務。クライアントの事業価値を向上させる事を目的とし、仕事を通して取り組んでいます。
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
 (※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)

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